1級電気工事施工管理技士 過去問
令和7年度(2025年)
問7 (午前 ロ 問1)

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問題

1級電気工事施工管理技士試験 令和7年度(2025年) 問7(午前 ロ 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

原子力発電に用いる原子炉に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • 冷却材は、核分裂によって発生した熱エネルギーを原子炉外に取り出すために使用される。
  • 減速材は、核分裂によって発生した高速中性子のエネルギーを衝突により奪い、熱中性子にするものである。
  • 高温ガス炉は、冷却材にヘリウムガスを用いる。
  • 加圧水型原子炉は、発電用の蒸気を原子炉の中で直接発生させる。

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この過去問の解説 (1件)

01

国内の実用化されている原子力発電方式は沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2種類です。

 どちらも冷却材に軽水(普通の水)を使用する軽水炉ですが、蒸気を発生させる仕組みが異なります。

 

 加圧水型(PWR:Pressurized Water Reactor)は、高温高圧の一次冷却水を蒸気発生器に送り、熱を二次冷却水に渡し蒸気を作り出し、この二次冷却水の蒸気によりタービンを回して発電します。 

 

 それに対し沸騰水型(BWR:Boiling Water Reactor)は、原子炉内で水を沸騰させて作り出した蒸気をタービンに送り発電します。

 

タイプの覚え方のコツは、加圧水型は「一次冷却水を加圧することで沸騰させないようにしているから」、沸騰水型は「一次冷却水を直接沸騰させて利用しているから」という、一次冷却水の状態に注目することです。

 

なお、これらの軽水炉に対して高圧ガス炉は、熱エネルギーを取り出す冷却剤として(普通の水・・・つまり軽水ではなく)ヘリウムガスを用いることで、安全性を高め効率良く熱エネルギーを取り出すことを目指して、現在研究開発が続けられています。

選択肢1. 冷却材は、核分裂によって発生した熱エネルギーを原子炉外に取り出すために使用される。

適切な説明です。

 

 軽水炉では、軽水(普通の水)が、高圧ガス炉ではヘリウム等のガスが冷却材として使用されます。

 

選択肢2. 減速材は、核分裂によって発生した高速中性子のエネルギーを衝突により奪い、熱中性子にするものである。

適切な説明です。

 

 連鎖的に核分裂反応を発生させるには、最初の核分裂で生じた中性子が早すぎる状態(これを高速中性子と呼ぶ)では不都合なので、

次の核分裂を発生させやすい速度まで減速させ熱中性子にする必要があります。

 

 このために高速中性子のエネルギーを奪うために必要とされるのが、減速材です。

選択肢3. 高温ガス炉は、冷却材にヘリウムガスを用いる。

適切な説明です。

 

 すでに述べたように、冷却材として軽水ではなく、ヘリウムガスを用いることから、高温ガス炉と呼ばれます。

 

選択肢4. 加圧水型原子炉は、発電用の蒸気を原子炉の中で直接発生させる。

誤りであり、これが不適当な説明です。

 

  加圧水型は、原子炉内の熱を、一次冷却水から蒸気発生器にて二次冷却水に渡して蒸気を作り出します。

 それで発電用の蒸気を原子炉内で直接発生させるわけではありません。

 

 この説明が当てはまるのは、沸騰水型です。

 沸騰水型では、発電用の蒸気を原子炉内で直接発生させています。

まとめ

原子力発電の方式については、冷却水の状態に注目して分類されていることや、核燃料・減速材・冷却材といった基本的な構成要素の役割を押さえておきましょう。

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