1級電気工事施工管理技士 過去問
令和7年度(2025年)
問12 (午前 ロ 問6)

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問題

1級電気工事施工管理技士試験 令和7年度(2025年) 問12(午前 ロ 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

三相かご形誘導電動機の始動に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
  • トップランナーモータは、始動電流が大きくなる傾向にある。
  • Y-△始動法始動時には、全電圧始動時の1/3の電流が流れる。
  • Y-△始動法の始動時には、各相の固定子巻線に定格電圧の1/3の電圧が加わる。
  • 始動補償器による始動は、三相単巻変圧器のタップにより、始動時に低電圧を加える。

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この過去問の解説 (1件)

01

三相かご形誘導電動機とは三相交流で回転磁界を生成し、

 導体の両端を接続した金属カゴ形状の回転子を使用する電動機のことです。

 

単相誘導電動機と異なり、

 三相交流だけで回転磁界を発生させることができるため

  回転磁界をつくる機器が不要であることに加え、

 三相電源の2極を入れ替えれば回転方向を逆にすることができるなど、

  簡単で単純な構造でありながら、実用性の高い電動機です。

 

しかし、巻線形誘導電動機などに比べ始動トルクが小さいため、

 大型の電動機では始動時の突入電流を抑制するための始動装置が必要となる課題もあります。

選択肢1. トップランナーモータは、始動電流が大きくなる傾向にある。

適切な説明です。

 

トップランナーモータとは、省エネ法に基づき、

 最高レベルの効率(トップランナー基準)を満たすモータのことです。

 従来のモータより損失が少なく、省エネ性能が高いのが特徴です。

 

しかし銅損・鉄損を減らすために内部抵抗が小さく設計されています。

 そして内部のインピーダンス(抵抗成分)が小さいため、始動電流が大きくなる傾向があります。

選択肢2. Y-△始動法始動時には、全電圧始動時の1/3の電流が流れる。

適切な説明です。

 

Y-△始動法始動とは、三相誘導電動機を

 「始動時はY(スター)結線」・「定格運転時は △(デルタ)結線」に

 切り替えて運転する始動方式のことです。
 

始動時の突入電流を抑制するのが目的であり、

 Y結線時の始動電流は、△始動時の 1/3 程度 に抑制されます。

選択肢3. Y-△始動法の始動時には、各相の固定子巻線に定格電圧の1/3の電圧が加わる。

不適切な説明です。

 

Y-△始動法始動とは、三相誘導電動機を

 「始動時はY(スター)結線」・「定格運転時は △(デルタ)結線」に

 切り替えて運転する始動方式のことです。


始動時の突入電流を抑制するのが目的であり、

 巻線の電圧も抑制できますが。それは線間電圧 1/√3(約58%)となります。

 つまり1/3(約33%)ではなく、1/√3(約58%)となるとするのが正しい説明です。

選択肢4. 始動補償器による始動は、三相単巻変圧器のタップにより、始動時に低電圧を加える。

適切な説明です。

 

始動補償器とは、電動機の始動電圧を段階的に下げるために 、

 自己変圧器(オートトランス)を利用する始動器です。
 

始動時には、 低いタップ電圧(例:80%、65%、50%など)を選んで始動し

 始動後はタップを切り替えて定格電圧に切り替えます。

 

ということで選択肢の説明通りです。

まとめ

三相誘導電動機は、構造が簡単で比較的安価に製造できるため、多くの場所で使用されています。

 

そして様々な抑制方法(始動方法)が考案され実用化されていされていますが、

 まずは背景となる、三相かご形誘導電動機は「始動電流が大きくなる」という特性が覚えておきましょう。

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